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プラスチック製品に記載されている「BPAフリー(ビスフェノールA)」とは?
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BPA(ビスフェノールA)とは
BPAは、ビスフェノールAという物質の名称で、硬くて透明感のあるポリカーボネートやエポキシ樹脂などの「プラスチック製品」の原料や添加剤、缶詰の内面のコーティング剤などに利用されています。
ポリカーボネート
電気機器、OA機器、自動車・機械部品や一部の食器・容器など
エポキシ樹脂
金属の防蝕塗装、電気・電子部品、土木・接着材等など
これらの製造過程で反応しなかった微量のBPA(ビスフェノールA)がプラスチック製品に残留しています。
健康影響がある物質の可能性がある
「BPAフリー」という言葉がある理由は、その物質の健康への影響が不安視されているからです。
食品容器などが傷や劣化で、BPA(ビスフェノールA)が食品に溶出し人体に入った場合、ホルモンと同様の作用(内分泌かく乱作用)を示し内分泌系に影響を与える可能性があると懸念されています。
数々の動物試験や研究の中で、食品や水などを通して低量のBPA(ビスフェノールA)が動物の胎児や子どもの体内に入ると神経や行動、乳腺や前立腺への影響思春期早発などが認められているという報告がされています。
日本、そして米国、カナダ、EUの対応は
米国では
米国食品医薬品局(FDA)が2013年7月乳児用調合乳のパッケージのコーティングとしてBPAベースのエポキシ樹脂を使用しないように規制を修正。
心配な消費者はポリカーボネート製のほ乳びんの代わりにガラス製のものがあることを知ってほしい。と助言を与えています。
カナダでは、
低用量でも乳幼児(主に18ヶ月未満の)への影響がある可能性を考慮し、BPA(ビスフェノールA)を含むポリカーボネート哺乳瓶の製造、輸入、販売、または広告を禁止。リスク管理行動のマイルストーンを定め、消費者に向けたレポートや、産業排水防止計画など普及を進めています。
EUでは、
2011年1月、欧州委員会によりポリカーボネート製哺乳瓶の製造におけるBPAの使用を禁止し、2015年にはEFSA(欧州食品安全機関)が設定した一時的に許容できる毎日の摂取量に制限を導入しました。
日本では、
食品及び添加物、残留農薬、器具及び容器包装、表示、検査、衛生管理などを規制する法律「食品衛生法」にて、ポリカーボネート製器具及び容器/包装から溶け出るBPA(ビスフェノールA)の量を制限しています。
いずれも完全に安全であると結論はされておらず、それぞれリスク評価を続けています。
長く議論されてきた化学物質
BPA(ビスフェノールA)は「環境ホルモン」の一つとして長く議論されてきました。
「環境ホルモン」は、日本では1996年ごろから健康上の問題が指摘され、1998年には、その年の流行語大賞のトップテンにランクインするなどで広く認知されました。
「環境ホルモン」とは総称で、人や動物に対してホルモンと同様の作用(内分泌かく乱作用)を示す内分泌系や生殖機能に影響を及ぼす可能性がある物質のことです。
特に妊婦さん(胎児も)や乳幼児がこの物質を摂取すると影響があると懸念されており、それは数世代に影響が渡るとも言われています。書籍『メス化する自然 /デ ボラ・キャドバリー』には「環境ホルモン」による汚染影響が書かれています。
厚生労働省では、消費者に対し「BPA(ビスフェノールA)のためにQ&Aページ」を設置し
・「ポリカーボネート製のほ乳びんを使用していますが、問題ないですか。」
・「妊婦については、食生活で注意することはありますか」
などの懸念へ回答しています。
社会的には関心が薄れたように思われる「環境ホルモン」の課題は、残念ながら「流行」と共に消えることなく現在も残っています。
影響が分からないなら
使わない方がいい
プラスチック製品は、商品ラベルなどに「BPAフリー」「BPA Free」など記載があるので購入前に確認できます。特に、輸入の子どものおもちゃや食器などで見かけることができます。
しかし、「BPAフリー」の代わりに使われている化学物質BPS(ビスフェノールS)も同様の健康影響が不安視されています。
また、同じくプラスチック製品の可逆剤として使われているDEHP(フタル酸エステル)は男性の生殖発達、精子の質、男性ホルモンのレベルに影響を与えることが懸念され続けています。
米国食品医薬品局(FDA)の助言でもあったように、心配であるのならば、代わりの選択肢としてガラス製品を選ぶこともできます。
BPA(ビスフェノールA)を避ける
5つの方法
環境と女性健康を研究する非営利団体「Silent Spring Institute」では生活上で「BPA(ビスフェノールA)を避ける方法」を紹介しているので最後に記載します。
Silent Spring Institute PDF(英語):
6 Simple Steps to Avoid BPA and Phthalates in Food
1:生鮮、冷凍の食品を選択する
(包装や容器に気を配る)
プラスチック包装や缶詰の食品でなく、可能な限り新鮮な生鮮食品、または冷凍を選ぶ。
2:自炊する
研究によると外食を多くとる人々は自宅で食事するより高いレベルのBPA(ビスフェノールA)が確認された。新鮮な食材を使い自炊を増やし、外食の時は新鮮な食材を使ったレストランを選ぶ。
3:保管方法
プラスチックに保存された食べ物や飲み物、特に柑橘類や油脂による変質でBPA(ビスフェノールA)が溶出する可能性がある。食材の残り物はプラスチック容器ではなく、ガラスまたはステンレスで保管する。
4:電子レンジにかけない
熱が高くなると化学物質が食品や飲料に浸出する割合が増加するため、食品の加熱にはガラスまたはセラミックの容器を選ぶ。
またはオーブンを使う。商品ラベルに「電子レンジで安全」とあってもそれは(人の健康ではなく)容器の安全性を指している。
5:アナログな方法を選ぶ
自動のコーヒーメーカーは、プラスチックコンテナーとチューブ部分にBPA(ビスフェノールA)とDEHP(フタル酸エステル)を使用している場合がある。